2026年4月19日日曜日

残業させ放題。そんな言われ方をしても平気なのか。文科省。

 

教員の労働環境をめぐる議論の中で、現在最も耳目を集めているのは「残業代が支払われない」という問題です。基本給自体に大きな差がない以上、この残業代の未払いが民間企業との間に大きな生涯賃金の格差を生んでいることは、以前にも指摘した通りです。

教員の給与は、基本給のみで比較すれば極端に低いわけではありません。昨今の日本全体の賃金低迷を背景に、現在でこそ欧米に比べ低い水準となっていますが、かつての日本の教員給与は世界的にも高水準でした。1974年の人材確保法制定によって給与が引き上げられ、教員志願者が増加した時代があったのです。1980年代には大幅なベースアップがあり、期末手当とは別にまとまった「差額」が支給された記憶もあります。

しかし一方で、1971年には給特法が制定され、当時の月8時間分の残業代に相当する「教職調整額(給料月額の4%)」が一律支給される仕組みが作られました。当時から制度の欠陥は指摘されていましたが、当面の収入増があったことで、問題が顕在化しなかったという経緯があります。

学校現場において、教員同士が給与の話をすることは稀です。例外的に話題となったのは、三位一体の改革等で義務教育費国庫負担金が2分の1から3分の1に減額された時でした。自治体の財政難から校長・教頭ら管理職の給与がカットされ、一般教員と教頭の給与の「逆転現象」が起きたのです。これが教員の管理職離れを引き起こす一因となりました。

教員がお金の話を避けるのは、現在の待遇に満足しているからではありません。教員もまた、自身の時間と専門技術を提供する対価として賃金を得る一人の労働者です。しかし、「教員は聖職者である」という認識が、労働者としての権利主張を阻む罠として機能しています。「子どもたちのため」という大義名分が、無償労働を正当化する呪文となってしまっているのです。

特に、現代の若手教員にとって給与と残業代は死活問題です。初任者の多くが、大学卒業時点で500万円近い奨学金や教育ローンの返済義務を負っています。これは日本の相対的な貧困化を示すものでもありますが、多額の負債を抱える彼らにとって、適切な対価が支払われない現状は極めて切実です。

この構造的課題を解決するには、管轄省庁である文部科学省の抜本的な意識改革が不可欠です。現在、日本の公財政教育支出はGDP比で2%台にとどまっており、4%程度を維持する欧米諸国に大きく後れを取っています。文部科学省が迅速かつ抜本的な改革に踏み切らない限り、教育現場の崩壊は免れません。学校が再び「明るい未来を創造する場」となることを強く望みます

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