テストの成績処理も、パソコンが普及していない当時は、ノートに記録した点数をひたすら電卓で計算する時代でした(もっとも、私は自分のパソコンを持っていたので、自作のプログラムで計算していましたが)。こうした時代を知っているのは、今の50代以上の教員でしょう。その後、20年ほど前にExcelの通知表フォーマットを作成し、周辺の学校にも配布しました。パソコンを使えるようになっても、通知表の作成には20時間前後かかっていたと記憶しています。手書き時代は、さらにその倍近くの時間を費やしていたことになります。ただ、当時は今よりも会議などが少なかったため、子どもたちが帰った後の教室にこもって、ひたすら書く時間を確保できていました。
ここで言いたいのは、「昔は大変だった」という自慢ではありません。手書き時代を知らない若い世代にとっては、パソコン処理が当たり前です。だからといって、彼らの仕事が「楽になった」わけではないのです。今は出席日数の表記や総合所見、行動欄がなくなり、文章による所見を一切記載しない学校も増えました。それでも、その体制になってから教員になった人たちにとって、通知表の作成は依然として大きな負担なのです。自分の過去の経験だけを基準にしてしまうと、ここ数年で教員になった人たちの本当の苦労は見えてきません。私たちが感じた大変さは、その時代を共有した人にしか分からないのと同じです。決して自分の経験を絶対的な基準にして、今の状況を語らないよう気をつけなければならないと自戒しています。
例えば、最近は教室のワックスがけをアウトソーシング(外部委託)する学校が増えました。剥離剤とポリッシャーで床をきれいにしてからワックスをかけるなんて、本来なら教員がやらなくてもいい作業ですが、以前はみんな自分たちでやっていました。これは、かつての非効率な業務の典型例です。教員にそんな作業をさせていたこと自体が問題なのであって、「自分たちはその苦労をしてきたから」と、それを今の基準にする必要は全くありません。
この40年間の学校現場の変化は非常に大きいものです。だからこそ、昔の苦労を基準にして「今は楽になった」と決めつけるべきではありません。大変さの形は、時代とともに変化していくからです。もし「昔より楽そうだ」と思ってしまったとしても、それは心の中に留め、今の時代ならではの大変さに寄り添い、共感する姿勢を持つことが何より大切だと思います。


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