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2026年3月20日金曜日

福利厚生はしっかりしていますけど。掛け金が…。

福利厚生って、よく言われますよね。基本的には、法的に定められた健康保険や年金等が、福利厚生の基本だと思います。今は、介護保険や労災なども、その範囲に入ります。ちなみに公務員は雇用保険には入っていません。これらが法的に定められた福利厚生です。健康保険や年金などの掛け金は、本人だけでなく雇用している国や地方自治体も本人と同額で支払いをしてくれます。

社宅があるなどというのも、福利厚生です。同じように、住宅手当や交通費などは、雇用しているところが用意してくれるものです。

教員の場合は、公立学校共済組合というところが、福利厚生全般を処理してくれます。健康保険や年金だけでなく、人間ドックの費用補助や結婚や出産、子どもの義務教育卒業の祝い金なども、共済組合からもらうことができます。それから、福利厚生の一環として財形貯蓄などもあります。これは、労働金庫が実際には担当しています。

以前は、共済組合が直営の宿泊施設などもありましたが、共済組合もそれらの施設を維持することが難しくなってきたので、最近では売却等が行われています。

福利厚生の基本的な部分は国が策定しているものです。ですから、公務員はそれがしっかりと守られています。しかし、年金や健康保険、介護保険などの自分に係る部分だけでなく、共済組合が負担しているものが他にもあるのです。

産休の期間は、全額給与が支払われます。言ってみれば、有給休暇扱いです。療養休暇も、90日間(土日祝日も含みます)は有給です。しかし、育児休業は給与の支払いはありません。また、療養休暇も90日を超えると、無給になります。その無給の期間は、共済組合が生活支援として給付をしています。

さらに最近は、男性の育児休業も奨励され、取得するようになっています。また、メンタルの問題で休暇に入り、長期に生活支援を受けている人も多くいます。

現在、共済組合に支払っている掛け金は給与の約1割近くになります。以前はボーナス時には支払っていなかった掛け金ですが、2000年を過ぎたあたりからしっかりと天引きして支払わなければならなくなりました。これは金額的にも大きかったので、当時は驚きました。その後も、掛け金の率は何回も上げられています。

たしかに、年金も健康保険の支払いも対象者が多くなることで、共済組合も財政的に大変なのだと思います。昔は、もっと純然たる福利厚生が提供されていたと思いますが、今は「こんなにしてくれている」と恩恵を感じることは少ないような気がします。それ以上に、共済組合が支払うべき対象(支出)が増えているのです。

福利厚生について書こうと思ったのですが、ふと「支払っている金額ほど、自分は使っていないな」と思ってしまいました。まあ、相互扶助という協調的精神でやっていかなければならないのでしょうが……。少し、僕の心が狭いのかもしれません。

この国は税金と社会保険料を別々に集めています。しかし、実質的に合わせた金額が「税金」として重くのしかかっています。そういう意味では、決して税金が安い国とは言えないのではないでしょうか。

2026年3月19日木曜日

【年度末のお金の話】教員の退職金の実態と、若い人へ伝えたいこと

年度末なので、今日はお金の話、特に「退職金」について書いてみようと思います。 公立学校の退職金は、実際には計算方法も給与表も公開されているので、それらを照らし合わせれば誰でもわかるようになっています。

■ 管理職を経験しての退職金額 僕は60歳定年だったので、60歳の時に退職金をもらいました。正確な金額までは覚えていませんが、おおよそ2,400万円くらいだったと思います。主幹教諭、副校長、校長と経験してきたので、ずっと教諭だった場合よりは多くなっています。

ただ、10年以上前の退職金と比べると、実は500万円以上も低くなっているんです。給与と同様に、退職金も段階的に引き下げられてきた歴史があります。同じように長く勤めても500万円以上差が出るというのは、正直がっかりさせられる話ですよね。

■ 退職金は「まとまった給与」。税制優遇も それでも、退職金は「まとまってもらう給与」という感覚です。一時期話題になった「老後資金2,000万円問題」の金額とも一致しますね。

 退職金は税制的にも優遇されていて、長く勤めれば2,200万円くらいまでは税金がかからない仕組みになっています。

ちなみに僕は再任用として退職後も5年間働きましたが、その期間に対する退職金は出ません。1年ごとの契約職員のような形になるからでしょう。その代わり、雇用保険には入っているので、退職後に雇用保険から少しお金(失業給付など)を受け取ることができます。

■ 若い先生方へ。投資のすすめ 退職金は、基本的には投資に回しています。 資産運用の話は、教育の現状を伝えるこのブログの趣旨とは異なるので詳しくは書きません。ただ、これからの時代、ある程度「投資に慣れる」ことも必要だと感じています。

若い先生方はぜひ、勉強しながら投資を始めることをおすすめします。短期的には変動があって難しいと感じるかもしれませんが、長期的な視点で考えれば、必ず運用益が出てきますよ。

2026年3月12日木曜日

どこで働くかで年収100万円の差?教員給与の「地域手当」と民間比較

教員の給与については以前にも触れましたが、現在の公務員の給与制度では、東京都に勤務する教員の給与が相対的に高くなる仕組みになっています。その理由は「地域手当」の存在です。

首都圏の1都3県を見ても、この手当によって大きな差が生まれます。東京23区では地域手当が基本給の20%も加算されるのに対し、千葉県や埼玉県の平均は8%程度にとどまります。この差が積み重なると、50代の年収ベースで約100万円もの開きが生じるのです。

隣接する市町村で生まれる理不尽な給与差

地域手当は、地域間の必要な生活費の差を反映させる目的で、国の人事院や各自治体の人事委員会が等級を定めています。しかし、教員の業務内容はどの地域でも基本的に変わりません。

それにもかかわらず、例えば県内に3つの政令指定都市を抱える神奈川県の場合、横浜市や川崎市に勤めていれば16%の手当がつきますが、それ以外の市町村に勤務するだけで、同じ50代でも年収で40万円ほどの差が出ます。隣接する地域間でこれほどの給与格差があることは、やはり制度的な課題と言えるでしょう。

これが東京都と千葉・埼玉県の比較になれば、先述の通り100万円の差になります。これから教員を目指す方にとって、どこに勤務するかを決める上で、給与は非常に大きな判断材料になるはずです。

プライム上場企業との比較で見える実態

公務員にはストライキなどの労働基本権が認められていないため、代わりに人事院が客観的な数値をもとに給与を算出しています。しかし、過去30年近くにわたり「いかに公務員給与を引き下げるか」という方向で制度改定が重ねられた結果、東証プライム市場に上場するような大手企業とは生涯賃金で大きな差が開いてしまいました。

もちろん、プライム上場企業は日本を代表する大企業であり、優秀な人材を集めるために給与の引き上げに躊躇しない側面もあるでしょう。ですから、公務員と差があってしかるべきだという意見もあると思います。実際に民間企業間でも、50代になれば大企業と小企業で倍近い給与差が生じます。

ただ、民間企業と教員の給与を単純に比較することには注意が必要です。教員などの公務員には性別による給与の差がなく、同じ職務・経験年数であれば同一の給与が支払われます。一方、民間企業では依然として男女間の給与格差が存在することが統計からもわかっています。

この点を考慮すると、特に男性に絞って比較した場合、教員と大手民間企業との実際の給与差は、表面的な平均値のデータ(※ここに表を挿入)よりもさらに開いているのだということをご理解いただけるかと思います。

給与の引き上げが無理なら、別の魅力を

深刻な教員不足についてはこれまでも何度も指摘してきましたが、人材確保のためには給与水準の引き上げが本来「マスト」の施策です。

しかし、財政的な理由ですぐにそれが叶わないのであれば、給与面以外で異なったアピールができるように考えるべきです。一つの提案として、夏休み期間中の教員の特別休暇を現在の5日間から10日間に増やすだけでも、教職の魅力を高める有効な手立てになるのではないでしょうか。

皆様はどのようにお考えになりますか?もしご意見があれば、ぜひコメント欄でお聞かせください。

参考資料

教員の給与
地域(地域手当の割合)20代(約25歳)30代(約35歳)40代(約45歳)50代(約55歳)
東京23区(20%)約450万円約620万円約804万円約870万円
横浜市・川崎市(16%)約435万円約600万円約777万円約840万円
さいたま市・千葉市(15%)約430万円約595万円約770万円約835万円
神奈川県(平均約10%※)約415万円約570万円約737万円約800万円
埼玉県・千葉県(平均約8%※)約405万円約560万円約723万円約785万円
民間企業の規模別給与20代(約25歳)30代(約35歳)40代(約45歳)50代(約55歳)
大企業(1,000人〜)約430万円約580万円約720万円約840万円
中企業(100〜999人)約380万円約480万円約580万円約630万円
小企業(10〜99人)約340万円約420万円約490万円約510万円
プライム市場に上場している企業
年代(目安)20代(約25歳)30代(約35歳)40代(約45歳)50代(約55歳)
平均年収の推計(諸手当・賞与込み)約480万円 〜 520万円約650万円 〜 720万円約850万円 〜 920万円約950万円 〜 1,050万円

2026年3月1日日曜日

臨任に登録してくれる人、いませんか。

最近、こんな話を聞きました。 ある学校で産休に入る先生がいたのですが、代替の臨任(臨時的任用教員)が来ないそうです。担任を空けるわけにはいかないので、児童指導専任の先生が担任代行をしているとのこと。さらにその学校では、もう一人療休(病気休暇)に入った先生もいて、そちらは専科の先生が担任代行を引き受けているそうです。

同じ時期に二人の欠員が出る。現場ではありうる話ですが、管理職の視点から見ると、この2つのケースは性質が全く異なります。

産休の場合、妊娠が分かり出産予定日が見えてくる頃には、校長は教育委員会へ「〇月に産休に入る職員がいるので手配をお願いします」と連絡を取ります。つまり、教育委員会の人事担当者は、半年も前から「〇ヶ月後に産休代替が必要になる」と分かっているのです。以前なら、これで無事に事は進み、手配が完了していました。産休代替は「予定が立つ欠員」なのです。 一方、療休は突然の出来事ですから、すぐに対応するのが難しいのは十分に理解できます。しかし、今は「予定が立っているはずの産休代替」すら見つからないという異常事態が起きているのです。

実は、臨任の先生の給与は正規職員と遜色がありません。自治体によって差はありますが、新卒であっても月給30万円以上を提示する自治体もありますし、40代・50代のベテランになれば50万円まで段階的に給与が上がる自治体も存在します。

しかし、ここに別の根深い問題があります。「教員経験者が、果たして再び臨任としてフルタイムで働きたいと思うか」ということです。 以前も書きましたが、現在の学校の「働き方」自体が嫌で辞めた人は、待遇が良くても臨任を引き受けるとは思えません。定年退職後の先生方も同じ気持ちでしょう。その結果、「フルタイムの臨任は負担が大きいけれど、非常勤講師なら引き受けてもいい」という流れになるのです。

この非常勤講師の働き方も、自治体によって勤務時間の上限が明確に異なります。東京都なら週26時間、横浜市なら週29時間、川崎市に至っては週35時間といった具合です。これを主たる収入源にするか、あるいは兼業前提で働くかなど、働く側の目的によっても選択肢が変わってきます。

いずれにしても、「臨任としてフルタイムで現場を支えたい」と登録してくれる人が決定的に不足しているのが今の教育現場の現実です。 学校現場は、教員が離れていかないよう「働きやすい職場づくり」に今すぐ本気で取り組まなければ、この先もずっと人員不足に悩まされ続けることになるでしょう。

2026年2月16日月曜日

給与の話。先生の給与が、バイトの時給より低くてもいいのか。

 ■ バブル期に言われた「公務員の安定」という神話 1980年代、日本の教員の給与は欧米諸国よりも高いと言われていました。当時の欧米の教員は教会のボランティアから発展した歴史があり、給与水準が低かったという背景もあったようです。 私はバブル期にも教壇に立っていましたが、ものすごい勢いで潤っていく民間企業を羨ましく見ていたものです。その際、「公務員は好景気の恩恵は受けられないが、不景気の影響も受けないのだから我慢しろ」とよく言われました。

■ 20年間の「給与据え置き」と管理職の給与カット しかし、現実は全く違いました。いざ不景気になるとベースアップは停止し、気づけば20年近く給料が上がらない時代を経験しました。 上がらないどころか、私が副校長を務めていた時には、かなりの金額の給与カットまで断行されました。管理職である私の方が、同い年の一般の先生よりも給
料が低くなるという逆転現象まで起きていたほどです。

■ 国際比較:いつの間にか開いた欧米との埋めがたい格差 国際比較で見ても、この20年で状況は激変しました。20年前は日本の教員の方が高給でしたが、現在ではドイツの教員の半分程度に留まっています。円安の影響を考慮したとしても、決して教員の地位が高いとは言えないアメリカと比べても、300万円以上の開きがあるのが現実です。

■ 現場のリアル:時給換算「200円以下」を生み出す給特法 しかも、これは純粋な額面だけの比較です。実質的な「時間外勤務の長さ」を考慮すると、さらに悲惨な現状が見えてきます。 例えば、年収400万円程度の20代の若手教員が月に60時間の時間外勤務をした場合、時給換算で1,500円程度にすぎません。さらに深刻なのが「給特法」の問題です。若手の場合、4%の教職調整額は月1万円程度。これで60時間の時間外労働を計算すると、残業代の時給はなんと「200円以下」になってしまいます。

■ 見えない残業:「月60時間の時間外労働」は決して大げさではない この「月60時間」という数字は、極めてリアルな実態です。朝30分早く出勤し、終業後に2時間残るだけで月50時間になります。そこに持ち帰り残業で明日の授業準備や指導案の作成を行えば、プラス10時間などあっという間に超えてしまいます。

■ 結論:自己犠牲を前提としたシステムからの脱却 これまで日本の教育は、現場の先生たちの「献身的な努力」によって維持されてきました。そして社会も、それを当然のこととしてここまで来たのです。 現在、深刻な教員不足が叫ばれていますが、労働力人口そのものが減少している中で、若者がより良い条件の仕事を見つけるのは当然の帰結です。今の50代前後が経験したような「先生になりたくても、競争率が高くてなれなかった時代」とは完全にフェーズが変わっているのだという認識を、私たちは今こそ再確認しなければなりません。

2026年2月14日土曜日

学校現場のお金の話〜教員の初任給と一般企業との「恐ろしい差」〜

 

学校にいると、あまり給料の話は出てきませんよね。 昔は「お金のことなどどうでもいいだろう」という雰囲気が職場全体にありました。僕は昔の人間ですから、初任から数年間は現金で給料をもらっていました。就職して10年くらいたってから、ようやく銀行振り込みに変わったと記憶しています。

さて、昔話はこれくらいにして、今回は**「現在の教員の給料」**について考えてみたいと思います。

見た目の初任給は「プライム上場企業」並み?

昨年の初任者の給与を見てみると、東京都や横浜市は27万円前後の初任給が出ているようです。実はこの金額、プライム市場に上場している大企業と遜色ない水準です。

一方、同じ神奈川県でも地域手当がつかない一部自治体(県西の地域など)の初任給は22万円前後。東京都や横浜市と比較すると、毎月5万円程度の差が生じています。(もちろん鎌倉市や藤沢市など、横浜市と大差ない地域もありますし、近年はベースアップで以前より少し差が小さくなっている傾向はありますが)。

「残業代ゼロ」がもたらす逆転現象


額面だけ見ると、一般企業との差は意外と小さいように思えます。しかし、ここには毎回問題になる**「時間外労働に対しての残業代」**が含まれていません。

教員は「給特法」により残業代が数パーセント上乗せされてまとめて支払われているため、どれだけ働いても実質的に残業手当は出ません。一方、一般企業は残業した分だけしっかりと手当が支給されます。これが積み重なると、1年目から月に数万円の大きな差になっていきます。

何十年も働いた後に待ち受ける「恐ろしい差」

では、初任給以降はどうなるのでしょうか。 長く働いていく中で、一般企業と教員に大きな差を生むのが以下の要素です。

  • 役職手当の差: 一般企業は学校よりも役職のポストが多く、昇格による給与アップが見込めます。

  • 業績連動型ボーナス: 企業が好業績であれば、連動して大きなボーナスが支給されます。

  • 昇給率と残業代の蓄積

何十年も働き続けた結果、生涯賃金で見ると一般企業と教員とでは恐ろしいほどの差がついてしまうのが現実です。

これでは、優秀な人材が待遇の良い一般企業に流れてしまうのも納得できます。今では「教員採用試験の一次試験は実質的にフリーパスだ」という見方すらあります。倍率が下がりすぎて、一次試験で絞り込む意味が失われつつあるのです。

お金に関心を持つことも、教育の未来を守るため

最初に書いた通り、学校はあまりお金の話題が出ない職場です。自分で給与表を見なければ、将来の待遇を理解するのは難しいでしょう。

しかし、先生も現実に一人の労働者です。もっと給与に関心を持つべきだと思います。 労働人口全体が減っている今の時代、給与の面でも魅力を感じさせられる職業でなければ、誰も教員を選んでくれなくなるのではないかと、強く心配しています。

臨任や非常勤で勤めてくれる人がいなくなったのは

臨任と非常勤の大きな違いと、深刻化する人材不足の現状 学校現場を支える「臨任(臨時的任用教職員)」と「非常勤講師」には、働き方や役割に大きな違いがあります。 臨任(臨時的任用教職員)とは? まず「臨任」ですが、基本的には正規の教職員と同じように扱われます。臨任が必要になるケース...