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2026年3月1日日曜日

臨任に登録してくれる人、いませんか。

最近、こんな話を聞きました。 ある学校で産休に入る先生がいたのですが、代替の臨任(臨時的任用教員)が来ないそうです。担任を空けるわけにはいかないので、児童指導専任の先生が担任代行をしているとのこと。さらにその学校では、もう一人療休(病気休暇)に入った先生もいて、そちらは専科の先生が担任代行を引き受けているそうです。

同じ時期に二人の欠員が出る。現場ではありうる話ですが、管理職の視点から見ると、この2つのケースは性質が全く異なります。

産休の場合、妊娠が分かり出産予定日が見えてくる頃には、校長は教育委員会へ「〇月に産休に入る職員がいるので手配をお願いします」と連絡を取ります。つまり、教育委員会の人事担当者は、半年も前から「〇ヶ月後に産休代替が必要になる」と分かっているのです。以前なら、これで無事に事は進み、手配が完了していました。産休代替は「予定が立つ欠員」なのです。 一方、療休は突然の出来事ですから、すぐに対応するのが難しいのは十分に理解できます。しかし、今は「予定が立っているはずの産休代替」すら見つからないという異常事態が起きているのです。

実は、臨任の先生の給与は正規職員と遜色がありません。自治体によって差はありますが、新卒であっても月給30万円以上を提示する自治体もありますし、40代・50代のベテランになれば50万円まで段階的に給与が上がる自治体も存在します。

しかし、ここに別の根深い問題があります。「教員経験者が、果たして再び臨任としてフルタイムで働きたいと思うか」ということです。 以前も書きましたが、現在の学校の「働き方」自体が嫌で辞めた人は、待遇が良くても臨任を引き受けるとは思えません。定年退職後の先生方も同じ気持ちでしょう。その結果、「フルタイムの臨任は負担が大きいけれど、非常勤講師なら引き受けてもいい」という流れになるのです。

この非常勤講師の働き方も、自治体によって勤務時間の上限が明確に異なります。東京都なら週26時間、横浜市なら週29時間、川崎市に至っては週35時間といった具合です。これを主たる収入源にするか、あるいは兼業前提で働くかなど、働く側の目的によっても選択肢が変わってきます。

いずれにしても、「臨任としてフルタイムで現場を支えたい」と登録してくれる人が決定的に不足しているのが今の教育現場の現実です。 学校現場は、教員が離れていかないよう「働きやすい職場づくり」に今すぐ本気で取り組まなければ、この先もずっと人員不足に悩まされ続けることになるでしょう。

2026年2月16日月曜日

給与の話。先生の給与が、バイトの時給より低くてもいいのか。

 ■ バブル期に言われた「公務員の安定」という神話 1980年代、日本の教員の給与は欧米諸国よりも高いと言われていました。当時の欧米の教員は教会のボランティアから発展した歴史があり、給与水準が低かったという背景もあったようです。 私はバブル期にも教壇に立っていましたが、ものすごい勢いで潤っていく民間企業を羨ましく見ていたものです。その際、「公務員は好景気の恩恵は受けられないが、不景気の影響も受けないのだから我慢しろ」とよく言われました。

■ 20年間の「給与据え置き」と管理職の給与カット しかし、現実は全く違いました。いざ不景気になるとベースアップは停止し、気づけば20年近く給料が上がらない時代を経験しました。 上がらないどころか、私が副校長を務めていた時には、かなりの金額の給与カットまで断行されました。管理職である私の方が、同い年の一般の先生よりも給
料が低くなるという逆転現象まで起きていたほどです。

■ 国際比較:いつの間にか開いた欧米との埋めがたい格差 国際比較で見ても、この20年で状況は激変しました。20年前は日本の教員の方が高給でしたが、現在ではドイツの教員の半分程度に留まっています。円安の影響を考慮したとしても、決して教員の地位が高いとは言えないアメリカと比べても、300万円以上の開きがあるのが現実です。

■ 現場のリアル:時給換算「200円以下」を生み出す給特法 しかも、これは純粋な額面だけの比較です。実質的な「時間外勤務の長さ」を考慮すると、さらに悲惨な現状が見えてきます。 例えば、年収400万円程度の20代の若手教員が月に60時間の時間外勤務をした場合、時給換算で1,500円程度にすぎません。さらに深刻なのが「給特法」の問題です。若手の場合、4%の教職調整額は月1万円程度。これで60時間の時間外労働を計算すると、残業代の時給はなんと「200円以下」になってしまいます。

■ 見えない残業:「月60時間の時間外労働」は決して大げさではない この「月60時間」という数字は、極めてリアルな実態です。朝30分早く出勤し、終業後に2時間残るだけで月50時間になります。そこに持ち帰り残業で明日の授業準備や指導案の作成を行えば、プラス10時間などあっという間に超えてしまいます。

■ 結論:自己犠牲を前提としたシステムからの脱却 これまで日本の教育は、現場の先生たちの「献身的な努力」によって維持されてきました。そして社会も、それを当然のこととしてここまで来たのです。 現在、深刻な教員不足が叫ばれていますが、労働力人口そのものが減少している中で、若者がより良い条件の仕事を見つけるのは当然の帰結です。今の50代前後が経験したような「先生になりたくても、競争率が高くてなれなかった時代」とは完全にフェーズが変わっているのだという認識を、私たちは今こそ再確認しなければなりません。

2026年2月14日土曜日

学校現場のお金の話〜教員の初任給と一般企業との「恐ろしい差」〜

 

学校にいると、あまり給料の話は出てきませんよね。 昔は「お金のことなどどうでもいいだろう」という雰囲気が職場全体にありました。僕は昔の人間ですから、初任から数年間は現金で給料をもらっていました。就職して10年くらいたってから、ようやく銀行振り込みに変わったと記憶しています。

さて、昔話はこれくらいにして、今回は**「現在の教員の給料」**について考えてみたいと思います。

見た目の初任給は「プライム上場企業」並み?

昨年の初任者の給与を見てみると、東京都や横浜市は27万円前後の初任給が出ているようです。実はこの金額、プライム市場に上場している大企業と遜色ない水準です。

一方、同じ神奈川県でも地域手当がつかない一部自治体(県西の地域など)の初任給は22万円前後。東京都や横浜市と比較すると、毎月5万円程度の差が生じています。(もちろん鎌倉市や藤沢市など、横浜市と大差ない地域もありますし、近年はベースアップで以前より少し差が小さくなっている傾向はありますが)。

「残業代ゼロ」がもたらす逆転現象


額面だけ見ると、一般企業との差は意外と小さいように思えます。しかし、ここには毎回問題になる**「時間外労働に対しての残業代」**が含まれていません。

教員は「給特法」により残業代が数パーセント上乗せされてまとめて支払われているため、どれだけ働いても実質的に残業手当は出ません。一方、一般企業は残業した分だけしっかりと手当が支給されます。これが積み重なると、1年目から月に数万円の大きな差になっていきます。

何十年も働いた後に待ち受ける「恐ろしい差」

では、初任給以降はどうなるのでしょうか。 長く働いていく中で、一般企業と教員に大きな差を生むのが以下の要素です。

  • 役職手当の差: 一般企業は学校よりも役職のポストが多く、昇格による給与アップが見込めます。

  • 業績連動型ボーナス: 企業が好業績であれば、連動して大きなボーナスが支給されます。

  • 昇給率と残業代の蓄積

何十年も働き続けた結果、生涯賃金で見ると一般企業と教員とでは恐ろしいほどの差がついてしまうのが現実です。

これでは、優秀な人材が待遇の良い一般企業に流れてしまうのも納得できます。今では「教員採用試験の一次試験は実質的にフリーパスだ」という見方すらあります。倍率が下がりすぎて、一次試験で絞り込む意味が失われつつあるのです。

お金に関心を持つことも、教育の未来を守るため

最初に書いた通り、学校はあまりお金の話題が出ない職場です。自分で給与表を見なければ、将来の待遇を理解するのは難しいでしょう。

しかし、先生も現実に一人の労働者です。もっと給与に関心を持つべきだと思います。 労働人口全体が減っている今の時代、給与の面でも魅力を感じさせられる職業でなければ、誰も教員を選んでくれなくなるのではないかと、強く心配しています。

働き方に対しての意識を変えないと。

いつから学校の「働き方」は問題になったのか 働き方の問題が現場で話題になり始めたのは、2016年ごろだったと思います。 それ以前は、働き方が問われることはほとんどありませんでした。タイムカードすら存在せず、遅くまで仕事をして注意されることなど一度もなかった時代です。記録がないので...