■「家庭科」の授業を担任が持つということ 学校現場で「専科の先生が一人配置されない(欠員)」という状況がいかに深刻か、具体的なシミュレーションをしてみたいと思います。
例えば「家庭科」です。週1.5コマ(2週で3コマ)の配当ですが、実習準備や後片付けが必須の教科です。専科の先生がいれば、複数のクラスを連続して授業することで準備・片付けを効率化できます。 しかし、これを担任が持つとなると話は別です。
空き時間が消滅する
準備・片付けの時間が新たに発生する
慣れない実習手順の確認作業が増える
結果として、他の教科の準備や採点業務がすべて後回しになります。感覚としては、授業1コマの負担増ではなく、**「3時間分の業務ロス」**が発生するのに等しいのです。
■「月44時間」の残業が生む矛盾 こうした業務のしわ寄せは、すべて時間外勤務に直結します。 よくある勤務実態として、朝30分、放課後1時間半の残業をしたとします。
1日2時間 × 22日 = 月44時間
これは、労働基準法の原則的上限(月45時間)ギリギリの数字です。しかし、教員の場合は給特法の壁があり、これを「残業」とは呼んでもらえません。
現状: 月額約1万6千円(調整額)のみ支給
本来: 年額約150万円相当の残業代が未払い(試算)
罰則: いくら働かせても管理職への罰則なし
給特法制定当時(昭和40年代)の「残業月8時間」という前提は、もはや完全に崩壊しています。
■「1兆円」を惜しんで現場を疲弊させるのか
もし今、教員に正当な残業代を支払うと、国全体で約1兆円が必要になるそうです。国や自治体がこの問題に口をつぐむのは、結局のところ「教員の健康より予算が大事」だからではないでしょうか。
若手教員の増加に伴う産育休の取得、メンタル不調による休職……。「先生が足りない」というリスクは今後ますます高まります。 「未配置」の穴埋めで現場が倒れてしまう前に、時間外勤務の削減と、給特法の抜本的な見直し(残業代の支払い含む)が急務です。

