臨任と非常勤の大きな違いと、深刻化する人材不足の現状
学校現場を支える「臨任(臨時的任用教職員)」と「非常勤講師」には、働き方や役割に大きな違いがあります。
臨任(臨時的任用教職員)とは? まず「臨任」ですが、基本的には正規の教職員と同じように扱われます。臨任が必要になるケースは、大きく分けて以下の3つです。
正規教員の欠員補充 本来は正規の教員で埋まっていなければならない枠が足りず、その分を臨任で埋めるケースです。新規採用者の突然の辞退や、急な退職などによって生じます。現場からすればありえないことなのですが、実際には多くの臨任の先生が4月の最初からこの枠で勤務しています。
産休・育休の代替 現在、学校現場には35歳以下の若い先生、特に小学校では女性の先生が多く、出産を迎える世代が集中しています。また、少子化対策もあり、男女問わず育休制度が手厚く利用されるようになりました。そのため、代替要員としての臨任の需要が急増しています。 通常、妊娠の報告(大体2、3ヶ月目)を受けると、校長はすぐに教育委員会へ書類を出し「〇月〇日から産休代替が必要」と要請します。しかし、何ヶ月も前から伝えているにもかかわらず、休みに入るギリギリまで代替の先生が決まらないことがざらにあります。
精神疾患などによる休職の代替 前回も書きましたが、精神疾患による休職者が増えているという現実があります。この場合は突然お休みに入るケースが多く、前もって準備できないため、代替の臨任が見つからない事態が頻発しています。
非常勤講師とは? 一方、「非常勤」は時給制で、週の勤務時間数に上限があります。僕が所属していた自治体では「週29時間が上限」でした。 また、「授業ができるのは全勤務時間の3分の2まで、残りの3分の1は事務処理や教材研究に充てる」という規定もありました(この辺りのルールは地方自治体によって異なるようです)。
週29時間となると、1日あたり約6時間勤務です。6時間労働なら途中に休憩時間を挟む必要がないため、9時出勤なら15時退勤、8時30分出勤なら14時30分退勤となります。この勤務時間では小学校の学級担任を務めるのは物理的に厳しく、そもそも制度上、非常勤の先生は担任になれない決まりになっています。
非常勤の役割も多岐にわたります。育児短時間勤務を利用して早く退勤する先生の「抜けた時間分を埋める」ための配置や、教科担任制のための配置などです。また、教員が病気で休む際も、2週間以上の診断書があれば非常勤講師を雇用することができます。
なぜ学校に人が来ないのか? 以前は、欠員が出ればどんな場合でも、教育委員会の人事担当者が学校へ職員を紹介してくれました。しかし、今はそれがだんだんとできなくなっています。その理由として考えられるのは以下の3点です。
採用試験の不合格者の減少: 今までは試験に不合格だった人が臨任をやるケースが多かったのですが、不合格者自体が極端に少なくなりました。
定年延長と再任用制度: 60歳定年ではなくなり、再任用で65歳まで勤務できるようになったため、「定年後数年は臨任で働こう」というベテラン層がいなくなりました。
待遇の地域格差: 非常勤を希望する人は、東京のように時給面で優遇されている自治体に集中しているのかもしれません。
理由は様々あるにせよ、ともかく「現場に人がいない」というのが切実な現状です。
さらに近年は制度が変わり、臨任や非常勤の先生が同じ学校に長く留まれるようになりました。先生にとっても、働きやすくて評判の良い学校にいられるなら、わざわざ他校へ移る必要はありません。学校側も、優秀な人材を手放したくないので「絶対に他に行かないように」と強く引き留めます。 その結果、各学校間で熾烈な人材の獲得競争が起き、流動性が下がることで、ますます全体の人手不足に拍車がかかる……という悪循環に陥っているのです。


0 件のコメント:
コメントを投稿