2026年4月28日火曜日

指示をシンプルに

 新しい学年になり、1か月。うまくいっていることもあれば、思った以上に苦戦していることもあるでしょう。 今、子ども達の様子はどうでしょうか。教室は整然としていますか? 先生の話を聞く態度は、しっかり身についてきているでしょうか。

タブレット等のICT端末を利用した授業をするにしても、基本的に「先生からの指示」が理解されなければ授業は成り立ちません。ツールの問題ではなく、基礎となるものが何であるかが重要なのです。

以前にも書きましたが、一番の基礎となるのは「話を聞くことができるかどうか」です。そのためのトレーニングがどの程度進んでいるかが、今後の大きなカギを握ります。

もちろん、「子ども達が楽しく学習できれば、自然とそうなる」という意見もあるでしょう。魅力的な授業ができる先生であれば、たしかに自然と話を聞く姿勢は育っていきます。しかし現実問題として、子ども達が楽しいと感じる授業を“毎時間”できる先生はそう多くはありません。 毎回楽しい授業をするのが難しいのであれば、せめて「整然とした教室環境を整える」ことに努めることが大切だと思います。

その意味で、ゴールデンウィーク明けは大きなチャンスです。 話し方を工夫し、子ども達にとって分かりやすい指示を出すよう努めるだけでも、教室の雰囲気は変わってきます。この機を逃すと、次は夏休み明けまで、なかなか良いきっかけが訪れません。

もちろん、それぞれの学校の状況は違います。先生の指示が通りやすい環境もあれば、そうではない環境があることも重々承知しています。どの学校でも全く同じアプローチが通用するとは思いません。 しかし、「分かりやすい指示を出すよう心掛ける」だけでも、状況は確実に変わってくるはずです。

落ち着きがない子が騒いでしまうのは、「指示が不明確な時」や、「これから行うことの順序(見通し)が分かりにくい時」です。また、そういった子ども達は、周りの子の言動にものすごく影響を受けます。周囲の言動すべてが刺激になり、落ち着かない要因になってしまうのです。

ですから、指示はなるべく全体に向けて、シンプルに出すように心がけてみてください。 「自分が何をすればいいのか」という指示さえしっかり分かれば、あえてそれに反して動きたいと思う子は、そう多くはないはずです。

2026年4月25日土曜日

少子化対策、学校は制度が整っていますよ。

少子化対策が進む中、学校という職場も大きな変化を見せています。特に小学校は女性教員の比率が高いため、その変化の影響を強く受けています。

現在では少子化対策の一環として、育児休業を最大3年間取得できるようになりました。この動きは民間企業でも見られ始めています。学校現場においては、産休・育休期間中に代替教員が雇用されるため、本来であれば業務への影響は少ないはずです。また、育休は男性も取得可能であり、その利用率は年々高まっています。

復帰後の育児期間中には、「育児短時間勤務」という選択肢があります。4時間や6時間といった勤務枠を選ぶことができ、例えば4時間勤務を選択した場合、始業から4時間の勤務となります。不足する3時間45分については非常勤講師が代替として雇用されますが、勤務時間に応じた給与体系となるため、収入は大幅に減少します。

もう一つの選択肢として、「フレックスタイム(時差出勤)制度」の利用が挙げられます。これは5分単位で勤務時間を前後にずらすことができる制度です。1日7時間45分という所定労働時間は変わらないため、給与への影響はありません。始業時間を早める形での利用が多く見受けられます。自治体によって規定は異なりますが、多くの場合、子どもが小学校を卒業するまで利用可能です。

教員の大量採用から10年以上が経過しました。当時採用された教員たちが25〜35歳前後の出産適齢期を迎えており、これらの制度の利用者が増加していると考えられます。こうした制度は教員の働き方を支える上で非常に重要です。しかし、以前のように臨時的任用教員(臨任)や非常勤講師のなり手が豊富であれば問題ありませんでしたが、現在は代替教員の需要と供給のバランスが崩れているという深刻な課題があります。

妊娠・出産・育児は、人生において極めて重要な期間です。育休の延長、時短勤務、フレックスタイムといった制度は、導入当初こそ現場に混乱をもたらしましたが、浸透するにつれて運用上の工夫も生まれてきました。適切に活用すれば、教員の生活に余裕をもたらす有効な手段となります。

少子化は欧米諸国を含め、社会全体の問題となっています。教員が人生の大きな選択を前向きに考えるためにも、多様な働き方を支える制度の充実は不可欠な条件と言えるでしょう。

2026年4月23日木曜日

授業以外の業務ってなんですか。


授業に関する業務:学級担任の重圧
学級担任は、日々の授業において以下のような多岐にわたる業務を(多くの場合、全教科分)こなしています。

  1. 授業の準備 授業の目的の明確化、教材研究、授業展開の構想。さらに、補助資料やプレゼン用のデータ作成、授業中に使用するプリントやフォーマットの用意などを行います。

  2. 授業の実践 実際の指導を行います。

  3. 授業後の処理 児童たちの評価のまとめ、小テストの実施と採点。ドリルや授業中に使ったプリントの回収・処理・評価記録の作成、そして提出物の確認と評価を行います。

従来、学級担任は自分のクラスの全授業を担うため、1時間の授業ごとにこれだけの業務が発生していました。教科担任制を部分的にでも導入すれば、同じ内容の授業を複数のクラスで行うことができるため、特に「1. 授業の準備」にかかる時間は大幅に削減できます。では、なぜ担任の負担は減らないのでしょうか。それは、「授業に関係しない業務」が膨大だからです。

授業以外の業務:肥大化する校務分掌と担任業務 学校組織には「校務分掌(事務分掌)」があります。本来は、基本的な分掌(教務、総務、経理、行事、視聴覚、図書など)と、学年・学級の業務(担任業務)だけで回っていたはずですが、時代とともに新しい課題が次々と追加され、組織だけが肥大化しています。

現在、一人の学級担任が抱える役割は以下のようになります。

  • 学年・学級運営: クラス運営に加え、学年部会への参加。さらに日本の場合は、休み時間、給食時間、掃除の指導といった生活面の指導も「担任の業務」として重くのしかかっています。

  • 各種研究会: 教科(国語、算数など)の研究会に加え、教科外(道徳、英語、特別活動など)の研究会。

  • 各種委員会・担当業務: 児童指導部、特別支援教育部、いじめ防止対策協議会、人権教育協議会など。


例えば、ある担任の先生は「5年担任」をしながら、「国語専任」「図書担当」「教務」「児童指導」「特別支援」「いじめ防止」「人権」を一人で兼任することになります。 その結果、書写展や文集の指導・事務手続きを行い、教務として職員会議の資料をまとめ、図書担当として読書感想文を取りまとめます。各種会議や人権教育の研修にも必ず参加し、支援が必要な児童がいれば個別の資料を作成して全体へ周知しなければなりません。 これに加えて、教育実習や初任者研修の師範授業、登下校指導のための資料作成や実地指導なども重なります。さらに各学校で行われる「授業研究会」のために指導案を作成し、他の教員に授業を見てもらい協議する会まであります。

大雑把に書き出しても、学級担任がどれほど常軌を逸した量の業務を抱えているかがお分かりいただけると思います。

現状の課題と今後の展望 「授業研究が日本の教育の要だ」と主張する学者もいますが、そこに費やしている膨大な時間と労力に見合うほど、授業改善に直結した例を私はほとんど見たことがありません。

これまで、日本の学校は「足し算」ばかりをしてきました。組織図を見れば、次々に新しい業務を継ぎ足してきたことが分かります。人員が増えない状況下で業務だけを増やせば、現場が破綻するのは必然です。 現状を打破するためには、ともかく人員を増やすことが不可欠です。それに加え、AI活用を阻む様々な制約を早期に撤廃し、AIの力で効率化できる業務を次々と見つけていかない限り、先生たちが本来の「授業」に力を注げる状況にはなりません。

「コスパが良いから」「先生たちが身を粉にして頑張ってくれるから」という方法論に依存し続ければ、学校の先生になろうという志望者は今後減るばかりだと思います。

2026年4月22日水曜日

保護者と話すのって苦手ですか

保護者対応の基本スタンス 保護者対応において、電話でのやり取りは基本的に「10分以内」と決めておくことをお勧めします。電話での対応には限界があるからです。言葉では分かり合えているように思えても、相手の細かな感情や表情が読み取れないことが多々あります。もし10分以上かかりそうだと感じた場合には、直接お会いして話をする方が、かえって解決への近道となります。

教師と保護者の「視点のズレ」を理解する 一口に保護者対応と言っても、様々なケースがあります。日常的なものであれば、懇談会や家庭訪問、授業参観などです。非日常的なものでは、トラブル対応、怪我の対応、友達関係の悩み、学習不振の相談などが挙げられます。このとき、教師側からすると「些細なこと」に思える事柄でも、保護者の方から見れば「一大事」であることも多いものです。

保護者にとって、対象となるのは自分の子ども「一人」です。しかし、教師の側からすると、どうしても「クラスの大勢の子どもの中の一人」という見方になりがちです。この前提のズレが、対応を難しくしています。根本的に見方が異なっているわけです。

「家庭」と「学校」における環境の違い また、家庭内ではほとんどストレスのない生活をしているため、学校とは全く異なった様子を見せている子どもも多くいます。家庭には、YouTubeを見たりゲームをしたりと、子どもにとってリラックスできる環境が整っています。きょうだいがいる場合、それがストレスになることもありますが、年齢が離れていたり異性だったりすると、それほどストレスがかからない環境の子どももいます。

一方、教室の中では、自分がやりたいことをやりたい時間にすることはできません。勉強したくなくても、授業時間になれば教科書を読み、課題に向き合わなければなりません。眠たくても、好きな時間に寝られるわけではありません。また、同年齢の子どもたちと常に一緒にいるわけですから、トラブルも起きますし、ストレスを抱える場面も当然多くなります。

保護者と共有すべきこと 保護者とまず共有しなければならないのは、そうした「環境の違い」によって、子どもたちの行動が家庭と教室で異なっていて当然だということです。また、教師が「集団」として子どもを見ているだけでなく、「一人ひとり」にもしっかり目を配っていることを伝える必要があります。

具体策の提示と保護者への配慮 そして大切なのは、問題が起きた時に「具体的な解決方法」を示すことができるかということです。曖昧な回答や具体性のない対応は、保護者の不信感を高めてしまいます。保護者側の悩みをしっかりと受け止めた上で、話を進めなければなりません。

例えば、教科学習に不安があるという相談を受けた時、ただ「学習時間を延ばしましょう」と言うのではなく、「どのような学習をすればよいか」を具体的に伝える必要があります。また、保護者がどの程度そのサポートに時間を割く余裕があるのかを把握した上で話を進めることも大切です。無理難題を押し付けてしまえば、かえって話が混迷してしまいます。

教師と保護者は異なった立場にあるため、一回の話し合いで解決するとは限りません。立場の違いを理解しつつ、教室での対応をしっかりと伝え、家庭ではどのようなサポートをお願いしたいのかを具体的に伝える必要があります。

特性のある子どもへの対応 現在、発達に特性のある子どもたちのことで、対応に苦慮している先生も多くいると思います。そうしたケースでは、家庭内ではまったく問題行動が見られないこともよくあります。それは先ほども述べた通り、家庭では子どもにストレスがかかっていないからにすぎません。家庭内での様子をしっかりとヒアリングし、「実は、学校での課題はこの部分にあるのです」と指摘・共有できれば、話は前進していくと思います。

しっかりとコミュニケーションをとり、一人の子どもに対して学校と家庭の異なる角度からアプローチすることで、状況が改善されることは多くあります。

若手の先生方へ 保護者と話すのが苦手という若手の先生も多いと思います。特に若い先生が、保護者とうまくコミュニケーションが取れないと思い悩む声を聞くことも少なくありません。 でも、自信を持って話をしてください。「具体性のある対応策」を提示することで、必ず少しずつ前進していくことができるはずです。

2026年4月19日日曜日

学校だってDXできていますが…。

■ 学校現場のDX:子ども向けと先生向け デジタル化に関しては、大きく分けて「子どもたちが学習で使うためのDX」と「先生たちが事務で使うDX」があります。今回は、子ども向けについては一旦置いておき、先生たちのためのDXについて考えてみたいと思います。

■ すでに導入されている「先生のためのDX」 現在、教育現場ではすでに多くのシステムが導入されています。

  • 校務支援システム: 週案、出欠管理、保健データ整理、通知表・指導要録の作成など

  • 勤怠管理システム: 教職員の出退勤、出張、休暇の管理

  • 連絡ツール: 保護者への連絡やアンケート配信機能

  • グループウェア: 会議の簡素化や職員間の情報共有

  • その他: 子どもたちの心身の健康観察システム、成績処理ソフト、プレゼンソフトなど

こうして振り返ると、教育現場でも十分にDXが進められており、文科省が推進する「事務効率を上げるためのシステム」は一通り揃っているように見えます。

■ AI導入の壁と「切り札」としての可能性 一方、これからの主役となる「AI」の導入には課題があります。最大の懸念は個人情報の扱いです。学校が扱う機密情報がAIの学習に利用されないよう、Googleなどの提供元としっかり協議し、セキュアな環境を整える必要があります。 ただ、AIが教員の事務処理を効率化する「切り札」であることは間違いありません。セキュリティを理由に「現場では一切使えない」となってしまえば、大きな損失です。

■ これからの教員に必要な「バイブコーディング」の視点 今後は、AIを使いこなすために「プロンプト(指示文)」の書き方を覚えたり、AIと対話しながら直感的にシステムを作る「バイブコーディング」の感覚を身につけたりすることが重要になります。 プログラミング言語を一から学ぶ必要はありません。「こんなアプリや機能があったら業務が楽になるのにな」というアイデアを持ち、それをAIを使って実現していく力こそが、真の業務改善を推し進めます。


■ 統計調査と「現場のリアル」のギャップ
しかし、現実はそう簡単ではありません。新しいシステムの導入には、これまでも現場に多大な手間と時間を強いてきました。 すべての先生がデジタルに強いわけではありません。スマホ世代の若い先生が意外とパソコン操作に不慣れだったり、ベテラン層が新しいツールに適応しきれなかったりするのが現場のリアルです。

文科省の統計調査では「教員のICT活用が進んでいる」といった結果が出がちですが、これには疑問を感じます。学校現場は調査に対して「優等生な回答」をしてしまう傾向があり、またアンケートの設問自体が曖昧なことも多いからです。

現場のリアルなスキル差や負担感を直視した上で、それでもなお、早い段階でAI活用へと舵を切り、本質的な事務処理の効率化を図っていくことが、これからの学校教育には不可欠だと考えま

残業させ放題。そんな言われ方をしても平気なのか。文科省。

 

教員の労働環境をめぐる議論の中で、現在最も耳目を集めているのは「残業代が支払われない」という問題です。基本給自体に大きな差がない以上、この残業代の未払いが民間企業との間に大きな生涯賃金の格差を生んでいることは、以前にも指摘した通りです。

教員の給与は、基本給のみで比較すれば極端に低いわけではありません。昨今の日本全体の賃金低迷を背景に、現在でこそ欧米に比べ低い水準となっていますが、かつての日本の教員給与は世界的にも高水準でした。1974年の人材確保法制定によって給与が引き上げられ、教員志願者が増加した時代があったのです。1980年代には大幅なベースアップがあり、期末手当とは別にまとまった「差額」が支給された記憶もあります。

しかし一方で、1971年には給特法が制定され、当時の月8時間分の残業代に相当する「教職調整額(給料月額の4%)」が一律支給される仕組みが作られました。当時から制度の欠陥は指摘されていましたが、当面の収入増があったことで、問題が顕在化しなかったという経緯があります。

学校現場において、教員同士が給与の話をすることは稀です。例外的に話題となったのは、三位一体の改革等で義務教育費国庫負担金が2分の1から3分の1に減額された時でした。自治体の財政難から校長・教頭ら管理職の給与がカットされ、一般教員と教頭の給与の「逆転現象」が起きたのです。これが教員の管理職離れを引き起こす一因となりました。

教員がお金の話を避けるのは、現在の待遇に満足しているからではありません。教員もまた、自身の時間と専門技術を提供する対価として賃金を得る一人の労働者です。しかし、「教員は聖職者である」という認識が、労働者としての権利主張を阻む罠として機能しています。「子どもたちのため」という大義名分が、無償労働を正当化する呪文となってしまっているのです。

特に、現代の若手教員にとって給与と残業代は死活問題です。初任者の多くが、大学卒業時点で500万円近い奨学金や教育ローンの返済義務を負っています。これは日本の相対的な貧困化を示すものでもありますが、多額の負債を抱える彼らにとって、適切な対価が支払われない現状は極めて切実です。

この構造的課題を解決するには、管轄省庁である文部科学省の抜本的な意識改革が不可欠です。現在、日本の公財政教育支出はGDP比で2%台にとどまっており、4%程度を維持する欧米諸国に大きく後れを取っています。文部科学省が迅速かつ抜本的な改革に踏み切らない限り、教育現場の崩壊は免れません。学校が再び「明るい未来を創造する場」となることを強く望みます

2026年4月17日金曜日

臨任や非常勤で勤めてくれる人がいなくなったのは

臨任と非常勤の大きな違いと、深刻化する人材不足の現状

学校現場を支える「臨任(臨時的任用教職員)」と「非常勤講師」には、働き方や役割に大きな違いがあります。

臨任(臨時的任用教職員)とは? まず「臨任」ですが、基本的には正規の教職員と同じように扱われます。臨任が必要になるケースは、大きく分けて以下の3つです。

  1. 正規教員の欠員補充 本来は正規の教員で埋まっていなければならない枠が足りず、その分を臨任で埋めるケースです。新規採用者の突然の辞退や、急な退職などによって生じます。現場からすればありえないことなのですが、実際には多くの臨任の先生が4月の最初からこの枠で勤務しています。

  2. 産休・育休の代替 現在、学校現場には35歳以下の若い先生、特に小学校では女性の先生が多く、出産を迎える世代が集中しています。また、少子化対策もあり、男女問わず育休制度が手厚く利用されるようになりました。そのため、代替要員としての臨任の需要が急増しています。 通常、妊娠の報告(大体2、3ヶ月目)を受けると、校長はすぐに教育委員会へ書類を出し「〇月〇日から産休代替が必要」と要請します。しかし、何ヶ月も前から伝えているにもかかわらず、休みに入るギリギリまで代替の先生が決まらないことがざらにあります。

  3. 精神疾患などによる休職の代替 前回も書きましたが、精神疾患による休職者が増えているという現実があります。この場合は突然お休みに入るケースが多く、前もって準備できないため、代替の臨任が見つからない事態が頻発しています。

非常勤講師とは? 一方、「非常勤」は時給制で、週の勤務時間数に上限があります。僕が所属していた自治体では「週29時間が上限」でした。 また、「授業ができるのは全勤務時間の3分の2まで、残りの3分の1は事務処理や教材研究に充てる」という規定もありました(この辺りのルールは地方自治体によって異なるようです)。

週29時間となると、1日あたり約6時間勤務です。6時間労働なら途中に休憩時間を挟む必要がないため、9時出勤なら15時退勤、8時30分出勤なら14時30分退勤となります。この勤務時間では小学校の学級担任を務めるのは物理的に厳しく、そもそも制度上、非常勤の先生は担任になれない決まりになっています。

非常勤の役割も多岐にわたります。育児短時間勤務を利用して早く退勤する先生の「抜けた時間分を埋める」ための配置や、教科担任制のための配置などです。また、教員が病気で休む際も、2週間以上の診断書があれば非常勤講師を雇用することができます。

なぜ学校に人が来ないのか? 以前は、欠員が出ればどんな場合でも、教育委員会の人事担当者が学校へ職員を紹介してくれました。しかし、今はそれがだんだんとできなくなっています。その理由として考えられるのは以下の3点です。

  • 採用試験の不合格者の減少: 今までは試験に不合格だった人が臨任をやるケースが多かったのですが、不合格者自体が極端に少なくなりました。

  • 定年延長と再任用制度: 60歳定年ではなくなり、再任用で65歳まで勤務できるようになったため、「定年後数年は臨任で働こう」というベテラン層がいなくなりました。

  • 待遇の地域格差: 非常勤を希望する人は、東京のように時給面で優遇されている自治体に集中しているのかもしれません。

理由は様々あるにせよ、ともかく「現場に人がいない」というのが切実な現状です。

さらに近年は制度が変わり、臨任や非常勤の先生が同じ学校に長く留まれるようになりました。先生にとっても、働きやすくて評判の良い学校にいられるなら、わざわざ他校へ移る必要はありません。学校側も、優秀な人材を手放したくないので「絶対に他に行かないように」と強く引き留めます。 その結果、各学校間で熾烈な人材の獲得競争が起き、流動性が下がることで、ますます全体の人手不足に拍車がかかる……という悪循環に陥っているのです。

2026年4月16日木曜日

小学校の教員採用試験が、人気がない理由は何でしょう。

2024年の小学校の教員採用試験を受けた人は3万5000人弱で、平均倍率は2倍だということです。ちなみに、小学校の教員免許を取った人は約2万7000人。確かに、その年に教員免許を取った人よりも多くの人が受験しているわけですから、納得といえば納得できる人数です。しかし、近年小学校の教員免許が取れる大学の数はかなり増えています。じゃあ、受験資格を持っている人が他にはいないのかということになります。

従来は採用試験の倍率が高く、教員になりたくてもなれない人が多くいました。その人たちは、臨任(臨時的任用教員)や非常勤講師をやりながら、翌年の採用試験を受けていたわけです。しかし、ベビーブーム世代の先生たちが大量退職し、少人数学級化などで学級数が増えたことで、大量採用時代に突入しました。その結果、臨任や非常勤をやっていた人たちが次々と正規の職員になり、採用試験を受ける人たちの「ストック」が減少していったのです。教員免許の取得状況については以前少し詳しく書きましたので、興味があれば見てみてください。

それだけではなく、社会全体で人手不足が叫ばれるようになっています。民間企業も初任給40万円などというインパクトのある金額を提示し、学生を集めています。 給与の話も以前書いているので、それを見てもらえば状況が少し詳しく分かると思いますが、一般的な企業と教員との間で、基本給にそこまで大きな差があるわけではありません。特に都市部ではそれほどの違いはないと思います。しかし、決定的な違いは「残業代があるか、ないか」です。ここで、月々の給与に大きな差が出てしまっています。

教員免許をとるためには、教育実習をやらなければなりません。これも、教員採用試験を受けるのを躊躇う理由になっているかもしれません。民間企業のインターンシップと同じように、教員の業務を実体験し、授業を行い、約1か月間子ども達と直接触れ合っていくのが教育実習です。そこでどのような体験をしたかも、進路に大きな影響を与えると思います。 僕が実習に来た学生に聞いた話では、先に教育実習を終えた友人たちが「帰る時間が遅いこと」や「なかなか指導案にOKをもらえずに苦労したこと」などを語っていたそうです。よく言えば、熱心に指導し、よい先生になるための基礎を築いてあげようという現場の先生たちの想いがあるのでしょう。しかし、それが今の学生には「ただのたいへんさ」としてしか伝わっていないということです。 もちろん、教育実習の指導を任されるくらいですから、現場でも所謂「できる」先生のはずです。学級経営もきちんとできるし、授業もしっかりとこなせる先生なのです。でも、その多くは「(身を粉にして)頑張ることをいとわない先生」だということです。その姿に嫌気が差してしまう学生がいても、何の不思議もありません。

YouTubeやX(旧Twitter)上には、そうした教員の働き方の現状を批判する声が多く流れています。今の学生は情報の収集をSNSに頼っているため、その影響力は計り知れません。確かにテレビのドラマなどを見ても、教員が楽をして働いているような描写は出てきません。フィクションであっても、そうしたイメージの蓄積は影響しているのかもしれません。

複数の要因が絡み合っているとは思いますが


、社会状況や、今のZ世代の学生たちが考えていること・志向していることに対応する施策をとらなければ、この状況は変わらない気がします。最近では、採用試験(筆記)を実質的に免除する自治体も出てきているようです。「大学で単位をとっているのだから教職教養の試験はいらない」という理屈のようですが、それは教員の質が低下することを防ぐ根本的な解決策ではないと思います。

残業代の出ない給与体系(給特法)の限界はもちろんですが、根本的には**「定時退勤が当たり前にできる業務量」**にまで仕事をスリム化しなければ、どれだけ初任給を上げても、免許を取りやすくしても、人は集まりません。AIを活用した事務作業の効率化や、学校が担うべき業務の線引きを国レベルで厳格に行い、「普通の若者が、健康的に長く続けられる職業」へと教職をデザインし直すこと。それこそが、質の高い教員を確保し、未来の教育を守るための唯一の「根本治療」だと考えます。

皆さんは、どう思いますか

2026年4月15日水曜日

メンタル不調を訴える教員が増え、休職に入る人が多く出た

文部科学省が昨年12月に公表したデータによると、メンタル不調を訴えて休職する教員が増加しています。精神疾患による休職者は全教職員の0.77%に上り、休職には至らないものの「1ヶ月以上の病気休暇」を取得した人を合わせると、その数は1万3,310人に達します。さらに、復職できずにそのまま退職に至るケースが約2割を占めており、これは民間企業で精神疾患により休職した職員の倍以上の割合になるそうです。

しかし、これは氷山の一角に過ぎません。実際には、休職や病気休暇を取得していなくても、心を病んだ状態で教壇に立っている先生方はいるはずです。そう考えると、統計の数値以上に、苦痛を感じながら仕事をしている教員が多いことが推察されます。

では、一体何が原因なのでしょうか。考えられる要因を3つ挙げてみましょう。

1.「子どもたちのため」という言葉の呪縛と、終わりのない業務 あらゆる作業や授業準備、話し合いが、「すべては子どもたちのためだから」という言葉で片付けられてしまう傾向があります。一般企業の残業は目標が明確なことが多いですが、教員の業務は必ずしもそうではありません。 授業の準備がそのよい例です。ただ授業で使う物を準備すればよいわけではなく、資料を作り、授業の流れを構想し、他学級との調整をするなど、やり始めればきりがありません。 昨今のDXの流れの中で、テスト用紙をスキャナで読み込んでパソコン上で処理し、スプレッドシートに自動転記されるなど、業務は進めやすくなっています。テストの採点や評価のように「きりのよいところまで進めれば済む仕事」は楽になりました。しかし、先ほどの授業準備のように、経験や知識が必要で、なおかつ「自分が満足するまで終わらない仕事」が現場にはまだまだ多く存在します。

2.職員室、子ども、保護者…複雑な人間関係のストレス 職員室の人間関係には独特の難しさがあります。教員は若手だろうとベテランだろうと、基本的に立場は同じです。若手でも授業や学級経営が上手な先生がいる一方で、ベテランだからといって全く問題がないわけではなく、毎年のように学級に課題を抱える教員もいます。(若手の方が不祥事を起こす割合は高いそうですが、必ずしも若手だけというわけではありません)。

そして、人間関係で最も悩まされるのは、やはり子どもとの関係です。一人ひとり異なる子どもたちと円滑な関係を築けなければ、学級経営は成り立ちません。 加えて、子どもの反応に敏感な保護者の存在もあります。世間では「モンスターペアレント」などと言われたりもしますが、僕が見てきた限りでは、教員側の保護者への対応(初期対応など)が悪いと思うことのほうが多かったです。保護者の言うことが無茶苦茶で、先生が一方的にかわいそうというシーンは見たことがありません。とはいえ、子どもや保護者との関係をうまく築けないことは、教員にとって計り知れないストレスになります。

3.「学級担任制」という密室と孤立 基本である学級担任制は、担任一人にすべてを委ねる形になります。担任がうまく学級をマネジメントできなければ、そこで行き詰まってしまいます。 いわゆる「学級崩壊」と呼ばれるカオス状態に一度陥ってしまうと、他の先生を応援に入れたり、保護者に教室に入ってもらったりしても、どうすることもできません。多くの場合、担任を交代させる以外に手の打ちようがなくなると思います。一度そのような状態になれば、精神的にかなりつらい状況に追い込まれます。「組織的なサポート」という手はよく打たれますが、それが根本的な改善につながるケースは少ないというのが実感です。

これらの要因が重なり、心の状態を維持できなくなってしまった結果、精神疾患を発症してしまうのだと思います。

2026年4月14日火曜日

再度、働き方について考えていきたい。

 

働き方の問題を整理してみたいと思います。 なぜ、学校の働き方がこれほどまでに問題になったのでしょう。

  1. メンタル不調を訴える教員が増え、休職に入る人が多く出たから。

  2. 「ブラック企業並み」だと言われ、教員採用試験を受ける人が減ってしまったから。

  3. 臨任や非常勤で勤めてくれる人がいなくなり、学校に欠員が出るようになってしまったから。

  4. 残業手当もなく、どれだけ残業しても給与に反映されないという「不思議な現象」にぶち当たったから。

  5. ICTを活用すればよいと言われているけれど、それがかえって重荷になっている人にとっては、何も改善されていないから。

  6. 保護者対応が複雑・困難になり、それに振り回されて辛い思いをすることが増えたと言われているから。

  7. 授業以外の業務が多すぎ、その対応に時間をとられて、本業であるはずの「授業」に打ち込めない環境があるから。

  8. 不祥事が起こるたびに、その対応として「研修」が追加されるなど、今まで以上に時間を奪われてしまう環境にあるから。

  9. 40代後半からの世代と、40代前半までの世代の間に「働き方に対する意識の断層」があるから。

どうでしょう。この辺りが主な課題でしょうか。探せばもっとあるかもしれませんね。 明日からは、これらの課題を再度見つめ直し、「では、どうすれば改善されるのか」について書いていきたいと思います。

これ以外にも、「こんなことも問題だ!」「これについてはすでに解決済みでは?」など、ご意見がありましたらぜひコメントをください。

2026年4月10日金曜日

みんな学校を利用したいよね

道路交通法が改正され、自転車の違反走行が話題になっています。これに伴い、警察は「子どもたちへの啓発」を目的として、学校での指導時間を求めてくるかもしれません。

学校は、同年代の子どもたちが毎日集まる場所です。規模の大きな学校であれば、その数は数百人単位になります。これは、何かをアピールしたい人たちにとって最高の環境と言えるでしょう。たとえば自転車の安全教室も、警察署で開催したところでどれくらいの子どもが参加するか分かりませんが、学校の授業として行えば、ほぼ100%の参加が期待できます。

こうした場を有益だと考えているのは、警察などの行政機関だけではありません。自社の取り組みをアピールしたい企業にとっても、学校は非常に魅力的な場所です。現在、さまざまな企業が学校向けに特別授業を提供しています。その目的は商品の宣伝にとどまらず、企業イメージの向上や社会貢献活動のアピールなど多岐にわたります。  「15歳までに特定の企業の商品を使い始めると、その後も長く使い続ける傾向がある」と言われることがあります。例えば、初めて使った生理用ナプキンのメーカーをその後も使い続ける人が多いという話は有名です。実際、学校が希望すれば、該当学年の人数分だけ生理用ナプキンを無償で提供してくれる企業もあります。学校側もこれを利用し、性教育の授業などで実物に触れる機会として活用しています。

企業や行政機関にとって、認知度やイメージを高めることは非常に重要です。それを最も効率よく実施できる場所が「学校」であることは間違いありません。

地域の校長が集まる「校長会」という会議があります(おそらく、どの地域でも行われているでしょう)。この会議の冒頭では、よく地域の行政機関から依頼が持ち込まれます。「イベントを周知してほしい」「コンクールの作品募集に協力してほしい」「子どもたちにアンケートを実施してほしい」といった具合です。行政や教育委員会だけでなく、企業からの依頼も少なくありません。最終的に引き受けるかどうかを判断するのは学校ですが、依頼があれば一応は検討することになります。

日々、学校にはさまざまなイベントのチラシが送られてきます。学校をどう上手く利用するかを考えている組織はたくさんあるのです。しかし、学校には本来やらなければならない教育活動が山のようにあります。

だからこそ、外部からの依頼はしっかりと選別し、双方向に利益があり、何より子どもたちが楽しく学習できる機会へとつなげていきたいものです。

2026年4月8日水曜日

勤務時間を保護者に知らせていますか。

 


先生たちの勤務時間は地域によって異なりますが、7時間45分、もしくは8時間の場合が多いでしょう。これに休憩時間が含まれるため、実質的な拘束時間は8時間30分から8時間45分になります。拘束時間に差があるのは、休憩時間が45分なのか、1時間なのかによって変わってくるためです。

朝の始業時間も、地域で統一されている場合もあれば、学校ごとに異なる場合もあります。おそらく、8時から8時30分の間に設定している学校がほとんどではないでしょうか。

勤務時間について特に気になるのは、「保護者に先生たちの勤務時間をきちんと知らせているか」ということです。どんな形でもよいので、例えば「8時から16時30分」が勤務時間であれば、それをしっかりと保護者に伝える必要があります。保護者の多くも企業で働いているため、先生たちにも勤務時間があるということはすぐに理解してもらえるはずです。

そして同時に、電話対応の受付時間も先生たちの勤務時間に合わせていることを明示する必要があります。これをしておかないと、「仕事中に電話できないのだから、遅い時間でも対応してほしい」ということになってしまいます。警察や病院などは24時間体制で勤務を割り振っていますが、学校にそのような機能はありません。ですから、「勤務時間と電話対応はこの時間帯です」ということを、しっかりと知らせる必要があるのです。

次は、先生たちの意識の問題です。勤務時間など関係なく仕事をしてよい時代は終わりました。いくら外が明るくても、勤務時間を超えて仕事をする必要はないのです。さまざまな工夫をして、時間外労働をしないで済むようにしなければなりません。

文科省は、残業代を支払うことを避けている節があります。そんなに嫌ならば財源ごとすべて地方自治体に任せればよいのに、未だに教員給与の3分の1を負担しています。それが残業手当を支払わない口実につながっているのなら、いっそ全額を地方自治体に委譲すべきです。そうしないと、誰も本気で時間外勤務について考えようとしないでしょう。

新年度になり、勤務時間が早まった学校もあると思います。先生方は気を付けましょう。勤務時間が早まったのなら、必ず退勤時間を守らないと、あっという間に時間外勤務の時間が増えてしまいます。

まず、学校が今すぐできることは、保護者に先生たちの勤務時間を知らせることではないでしょうか。

2026年4月7日火曜日

新しい1年に向かいましょう。

 

僕は昔から、教師という仕事は比較的自由度が高い仕事だと思ってきました。自分で考えたやり方で、自分の表現したいことを形にできる仕事だと感じていたからです。僕自身はそこまで創造性が豊かなわけでも、難しい理屈を考えるのが得意なわけでもありません。それでも、自分なりに何かを伝えられるという点で、この仕事は面白いと考えてきました。

以前にも書いた通り、僕は教師という仕事しか経験がありません。学生時代の家庭教師を除けばアルバイト経験すらなく、教師の世界しか知らないため、他の職業の創造性については語れないのですが…。

新年度を迎え、先生たちは緊張感の中にも、子ども達と過ごすこれからの1年にワクワクしていることでしょう。 子ども達も、新しいクラスでの仲間づくりや担任の先生への期待を胸に、緊張しつつも楽しみを見出そうとしているはずです。 一方で保護者の方々は、我が子が新しい環境にうまく馴染めるか、学習についていけるかなど、不安を募らせていることと思います。

日本の学校教育が始まって150年以上。それだけ長い年月が経っているのに、未だに「教育の完全マニュアル」は存在しません。「こうすれば、必ずこうなる」という正解がないのです。 その理由の一つは、生身の人間である先生が教えるからこそ生じる「微妙な誤差」にあると僕は考えています。教育活動には、先生一人一人の個性が必ず反映されます。同じ内容を同じように教えても、教える先生によって結果は変わるものなのです。裏を返せば、それだけ一人一人の「先生の個性」が生きる仕事だと言えるでしょう。

だからこそ、まずはご自身の「良さ」を見つめ直してみてください。その持ち味を存分に生かすことが、新年度の素晴らしいスタートへと繋がっていくはずです。

1日の仕事を考えてみませんか

他の職業のことは分かりませんが、学校の先生って、時間の使い方は基本的に各自に任されています。

朝、学校に着いてから、必ずこれをしなければいけないという決まりはありません。ゆっくりお茶を飲んでいてもいいですし、すぐに教室に行っても、もちろん事務処理を始めてもよいわけです。たしかに最近は、メールチェックや、保護者からの出欠連絡などの確認はしなければなりません。そういう意味では、以前よりもマストでやらなければいけないことは増えているのかもしれません。

とはいえ、授業をしていない時間については、各自のスケジュールで動くことができるというのが教員の特徴と言えます。

小学校は教員の数が極端に少ないため、授業が行われている時間に職員室にいる人数はかなり限られます。小規模校だと、教頭とあと一人くらいということも少なくありません。4クラス規模の学年でも、3、4人いるかどうかでしょう。ですので、基本的には共同での作業などはできず、各自の業務を進める時間になります。

この「空き時間」の使い方はとても大切です。うまく使えば、子どもたちが下校した後の放課後に仕事を回さずに済みます。


朝、学校に来たら、先述のようにアプリなどを通して保護者からの連絡をチェックします。校内でのメールのやり取りなども、朝のうちに済ませるのがよいでしょう。

それからもう一つ大切なのが、「今日やらなければならないこと」を確認することです。その内容は細かい方がよいでしょう。たとえば「漢字テストを実施する」「あの書類を作成する」「〇〇さんの保護者に連絡する」などです。

朝のうちにポストイットに書いてデスクに貼るなど、簡単な方法でよいので可視化しておくと、見通しが立てやすくなります。もちろん、自分のタブレット端末(iPadなど)で管理するのもよいでしょう。ともかく、その日にやるべきことをできるだけ明確にすることが大切なのです。それがToDoリストになります。

次に、そのリストを優先順位の高い順に並べ替えていけば、一日の予定がはっきりします。

それでも、隣のクラスでトラブルが起きたり、自分のクラスで急な児童指導が入ったりと、必ずしも予定通りに進まないのが学校という場所です。ですが、できる限りリストに沿って仕事を進め、もし時間内に処理しきれなければ「翌日に回せるものは何か」を考えることが、タイムマネジメントにおいて大切だと思います。

2026年4月5日日曜日

教室の中で、先生が気を付けなければいけないことありますか。

 

子どもたちの座席は、基本的には机を一つひとつ離して配置するのがよいでしょう。1クラスの児童数が最大35名の場合、横に7列、縦に5列のレイアウトが基本になります。机を2つ繋げた配置は集中力が途切れやすくなるため、一人ひとりが自分のパーソナルスペースを確保できる独立型のほうがメリットは大きいです。活動内容に応じて、その都度レイアウトを工夫するとよいでしょう。

教室における先生の立ち位置は、基本的に黒板の前です。そこで重要になるのが「子どもたち全体をどの程度見渡せているか」です。実は、一番前の席は先生が立っていると死角になりやすく、意外と視野に入りません。先生の身長にもよりますが、最も視界に入りやすいのは前から2〜3列目あたりです。

続いて、横の視野についてです。先ほどの「7列×5列」の配置は横に広いため、両端の席の子が視野から外れやすくなります。教員としての経験を積むにつれて自然と視野は広がり、クラス全体を無理なく見渡せるようになります。それができるようになれば、顔の向きに関わらず「先生はいつもみんなを見ているよ」と態度で示せるようになります。とはいえ、最初から完璧にこなすのは難しいため、まずは一人ひとりの顔を見ながら、視線を合わせて話す習慣をつけることが大切です。子どもは先生と目が合うことで「見られている」と自覚し、自然と話に集中するようになります。

また、学級経営においては荷物の整理整頓も重要です。小さな机の引き出しに何を入れるのか、ロッカーや教科書ボックスはどう使うのか、タブレット端末はどのように保管するのか。学校によっては、これらについて全学年共通のルールが定められていることも多いでしょう。全員に徹底させるのは根気のいる作業ですが、基本的なルールは一つずつ丁寧に確認していく必要があります。

決まったルールを守るのが得意な子もいれば、苦手な子もいます。しかし、習慣化してしまえば必ずできるようになりますので、ここは焦らず丁寧に指導し、定着させていきたいですね。

2026年4月4日土曜日

【伝え方の工夫】と【先生としての心構え】

 子ども達に「話を聞くことの大切さ」を教える前に、まずは私たち教員の姿勢について考えてみましょう。実は子ども達自身も、話を聞く大切さはよくわかっています。決して「先生の話を聞かなくてよい」と思っているわけではありません。

授業において、何をすればよいのか、何を考え、話し合えばよいのか。これらはすべて、先生から発せられる言葉によって決まります。だからこそ、先生が明確に、できるだけ短い言葉で指示を伝えることができれば、子ども達の理解は深まり、その後の活動もぐっと活発になります。 どうすれば子ども達にわかりやすく伝わるのか。そのための工夫と努力を惜しまないでください。その姿勢は、必ず新しいクラスでよい結果を生み出すはずです。

そして、若手や初任の先生方にもう一つお伝えしたい重要なことがあります。それは「しっかりと先生になりきってほしい(先生を演じてほしい)」ということです。

経験の浅さや年齢は関係ありません。子ども達にとって、あなたはまぎれもない「先生」です。新しいことを伝え、正しい道を教え、困った時には相談に乗り、優しく声をかけてくれる唯一の存在なのです。 35人の子ども達がいても、教室の中で大人はあなた一人しかいません。特に低学年の子ども達は、自分の思いをうまく言葉にできず、常に先生に様々な判断を委ねてきます。

そんな時、先生はしっかりと子どもの話に耳を傾け、判断し、その結果を明確に伝える必要があります。ただし、即答できない場合は「今は答えられないから、確認してから伝えるね」と誠実に返すことも大切です。他の教員や保護者への確認が必要な事案を安易に判断し、後から訂正するような事態は避けなければなりません。

初めのうちは、「先生という大役を任され、その役を演じている」というくらいの心構えで構いません。自信を持って、子ども達の前に立ってください。

2026年4月3日金曜日

話を聞く姿勢を作りましょうⅡ

 

■ 低学年の子どもには「話す速さ」に要注意 

子どもたちに話をするときは、「話す速さ」を意識しなければなりません。特に低学年の子どもは、耳から入った音の情報を脳で処理する能力がまだ十分に発達していません。人間の聴覚の素晴らしいところは、必要な音だけを拾い上げて脳に伝えられる点です。以前、聴覚障害のある子どもたちを教える先生から、「補聴器は音を単純に大きくするため、必要のない雑音まで大きく聞こえてしまう」という話を伺ったことがあります。実は、小学校低学年の子どもたちもそれと似ていて、必要な音だけを上手に拾い上げることがまだ十分にできないと言われています。そのため、大人の話すスピードが速すぎると、理解への大きな障害になってしまうのです。まずは、十分にゆっくりと話すことが必要です。もちろん、速さだけの問題ではありません。周りの雑音が極力遮断されている環境をつくることも、子どもたちが話を聞き取りやすくなる重要なポイントです。

■ 1回の指示は短く!「1文を長くしない」工夫 次に気をつけてほしいのは、「1文を長くしないこと」です。話の中に、いくつもの指示が詰め込まれていることがよくあります。例えば、「休み時間になったら校庭に出ます。チャイムが鳴るまでは遊んでいてよいですが、鳴ったら鉄棒の前に集まり、班ごとに分かれます。校庭に出るときには赤白帽を持っていってください。」といった具合です。指示を出す側としては伝えたいことばかりですが、1回の話に複数の指示内容を盛り込むのは避けるべきです。どうしても複数の指示を出したい場合は、話した後に黒板に書くなどの視覚的なフォローが欠かせません。指示に限らず、子どもたちに何かを理解させたい場合は、図表や具体的なイラストなどを用いることも非常に効果的です。

■ 「間」の取り方と、視覚的な補助道具の活用 「間の取り方」もよく指摘されるポイントです。「間の取り方」もよく指摘されるポイントです。間をとることには、重要な部分を強調する効果があります。また、子どもたちの理解度を判断したり、話すペースを調整したり、内容を繰り返したりするためにも大切な時間です。適切な間をとることで、言葉が子どもたちの心に印象深く残るため、上手に活用してほしい技術です。

よく実践される方法ですが、時計の模型を使って「長い針がここに来たら、こうします」と視覚的に示すなど、話す際の補助的な教具を導入することも大切ですね。

■ 学年始めに押さえたい「聞く姿勢」の育て方 「話を聞く姿勢」を育てることは、学年始めに取り組むべき最重要課題の一つです。「これから先生が話しますよ」という合図を子どもたちに理解させる。そして先生自身も、声の大きさや表情、話す速さ、間の取り方などに気を配り、子どもたちが「理解できる話し方」を心がける。まずは、この基本となる部分をしっかりと押さえていくのがよいのではないでしょうか。

2026年4月2日木曜日

話を聞く姿勢をつくりましょう。


4月になりました。新しい気持ちと期待でいっぱいなのは、子ども達だけではないでしょう。先生たちにとっても、子ども達以上に緊張感と期待感に満ちた時期だと思います。

4月の学校のスケジュールによっても変わってくると思いますが、僕の経験上、個人面談や家庭訪問が一区切りになります。もちろん、どの学校でも予定されているとは限りませんが、その場合でも、5月の連休までが一つの区切りとなるでしょう。

スタートの時期に当たる4月。必ずやらなければならないのは、「話を聞く姿勢」を作ることです。先生が前に立ち、動きを止めたら、全員が話を聞く意思を見せることができるようになることが大切です。

どんなに素敵な話をしても、どんなに大切なことを伝えようとしても、子ども達の側に「話を聞く」という意思がなければ伝わりません。子ども達に話を聞くことの大切さを伝えることも必要ですが、まずは、先生が教室の前に立ち、子どもたち全員が先生の方を向いて、話を聞く態勢をとれるようにすることが何より重要です。

もちろん、そうするためには、しなければならないことがあるでしょう。 まず、話し始めるタイミングをはっきりと分かるようにすることです。先生が黒板の前に立ち、動きを止める。そうした行動で、先生が何かを話す時だということを教えます。また、話をするときは、先生自身が子ども達をしっかりと見ること。子どもたち全員が話を聞くことができると判断するまで、話し始めないことも伝えておきましょう。

初めの頃は、定位置以外では話さないようにする工夫も有効です。特に、板書をしながら話をするのは避けましょう。板書しているときは子ども達に背を向けていますから、その状態で話をしてしまうと、全員が話を聞いているかどうか確認できません。

声の大きさも大切です。子どもたち全員が教室内にいるとき、先生の声がどう聞こえているのかを確認しましょう。声質によって、声の響きや通り方に差が出ます。一番後ろの子どもにまで、しっかりと声を届けることは絶対条件です。しかし、大きすぎる声もよくありません。大きい声には限界がありますし、言葉がきつく感じられてしまうこともあるからです。

話す「速さ」も、わかりやすい話し方の重要なテクニックです。小学生の場合、低学年の聞き取る力はまだかなり低いと考えておいてよいと思います。子ども達がしっかり聞き取れる速さで話をしなければなりません。**一方で、高学年に対して全く同じ話し方をするわけにはいきません。**それぞれの学年にとって、適切な速さはどれくらいなのかを理解する必要があります。

こうやって文章にすると簡単なのですが、時間が少ない時、あわてているとき、子ども達が落ち着かない様子の時などに、話し方に気を付けるのはなかなか難しいものです。

もし、これを初任の先生や若手の先生が読んでくれていればいいなと思っています。 続きがまだありますので、また明日書いてみたいと思います。

読んでくださっている方々、ありがとうございます。 もしよければ、どんな方が読んでくださっているのか、コメント欄で教えていただけると幸いです。


2026年4月1日水曜日

学区を散策してみるのも、いいと思いますよ。

初任の先生方にとっては、今日は本当に最初の一日でしたね。初めて異動を経験された先生方も、緊張して過ごされた一日だったのではないでしょうか。私自身はというと、あまり異動をプレッシャーに感じない性質でした。3日も経てばすっかり馴染んで、日常のペースで過ごすことができていたからです。

新しい学校へ赴任した際、なるべく早く実践したほうがよいと思うのは、学区を見て回ることです。子どもたちが通ってくる環境は、学校によって大きく異なります。特に都市部では、一つの学校ごとに環境が変わることも珍しくありません。そのため私は、赴任先が決まった際には、必ず学区を車で回ったり、歩いて散策したりするようにしてきました。工業地帯、マンションが立ち並ぶ住宅街、商業施設が密集するエリア、ターミナル駅周辺、さらには高層ビル群や、のどかな田園風景が広がる地域など、実に様々です。

子どもたちが育つ環境を肌で感じることは、指導において非常に有益です。学校で地域探索などの時間が設けられていることも多いですが、自分一人で気ままに歩いてみるのもお勧めです。春休みの休日など、まだどなたにも顔を知られていない時期に、のんびりと歩いてみてはいかがでしょうか。

さらに、その地域の成り立ちを知っておくと役立つ場面があります。都市部では昭和以降に開発された新興住宅地も多いですが、開発される以前の姿を知っておくことで、地域の方々とコミュニケーションをとる際の良いきっかけになります。新田開発によってできた街や、戦後まで酪農が盛んだった地域など、意外な歴史を持つ場所は多いものです。学校が建つ前は一面の農地だった、ということも少なくありません。

子どもたちだけでなく、その背景にある地域にも関心を持つことで、より多くの方々と関わりを持つことができます。それもまた、教員という仕事の醍醐味の一つではないでしょうか。

2026年3月30日月曜日

アプリとグループウェアの活用


様々な場面でタブレット端末などが普及し、学校現場でもここ数年の間に、専用のアプリが使われることが当たり前になってきました。 保護者からの出欠連絡、学校からの文書配信、そして校内での出欠席管理など、その用途は多岐にわたります。

アプリを導入したことで最も大きく変わったのは、「情報の流れ」です。今までは「保護者と担任」「担任と養護教諭」といった、いわば1対1の閉じた形でのやり取りが中心でした。しかし今は、「保護者と全教員」「全教員と養護教諭」というように、オープンな情報共有へと変化してきています。

兄弟のうち1人が休みなのか、2人とも休みなのか。休みの理由は家庭の事情なのか、感染症なのか。今までは、保護者や養護教諭、あるいは他のクラスの担任にわざわざ確認して回らなければならなかったことが、今ではアプリ上の情報を確認するだけで済むようになりました。

これは管理職の視点からも、非常に大きな変化だと言えます。今までは、担任等によって「まとめられた報告」だけが手元に届いていましたが、今では保護者からの一次情報や、担任と保護者のやり取りの過程などを、自分で直接確認できるようになりました。 情報が校内で相互に共有され、それぞれの立場から多角的に状況を見ることができるからです。何日か続けて休んでいる児童に対し、何人もの先生が気づき、関連する情報を出し合えること。そして校長自身が、子どもたちの状況を解像度高く把握できることは、学校運営において極めて重要だと感じています。

こうした連絡・コミュニケーション用のアプリに加えて、やはり「グループウェア」もこれからの学校には欠かすことができません。 グループウェアの導入により、「定例会議自体をなくす」「会議の内容を事前に共有する」「会議の結果だけを示す」「教員間の連絡をシステム上で行う」「提出物を管理する」「特別教室や専科の授業予定を修正・共有する」といったことがスムーズにできるようになりました。 特に、会議や打ち合わせを行わずにグループウェア上で処理することで、現場の先生方が有効に活用できる時間が増えたことは、最大の成果だと思います。

ただし、情報共有アプリにしても、グループウェアやメールにしても、「全員が確実にそれを見ていること」が大前提となります。「自分は見なくてもいいのではないか」という人が一部でもいると、システムとして成り立ちません。導入当初とは異なり、今はそうした意識のズレも少なくなっているとは思いますが、やはり毎朝、情報を確認して共有するための時間をしっかりと確保し、お互いが共通理解を持てるようにしてほしいと願っています。

最近思っていることですが……。

最近思っていることですが……。 生成AIがさらに精度を高めたとき、果たして学校は生き残れるのでしょうか。そして「先生」という職業は残るのでしょうか。少なくとも、「知識を教え、学習を進める」という従来の学校の機能は、あまり意味をなさなくなってくるはずです。 子どもたちは今後、自分専...